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もっとも驚いたこと、それはMIRAI(ミライ)というド直球そのものの、ある意味では自動車産業界への挑戦状とも取られるようなネーミングを、非常にトヨタらしい生真面目さで裏切る真っ当なセダンとしての質感の高さであった。
先進技術を織り込んだクルマは時に、ちょっと過激な味付けをすることで"これまでにない新しい乗り物"というイメージを牽引しようとするきらいがある。つまりそれはメーカーや技術者のドヤ感なのではないかな。『こんなオモロいクルマ作ったったで、ドヤ!』である。たとえば記憶に新しいのは、BMWのピュアEV、i3なんか、まさにそんな感じだった。BMWが考えるサスティナビリティ=CO2を排出しないシティーコミューターとして鮮烈なデビューを飾ったi3だが、ブレーキペダルをほとんど使わなくてもグンと減速するような強い回生ブレーキや、ほんの少しの踏み込みで音速か?!ってくらい飛び出す鮮烈なトルクで演出されており、EV分野でもBMWなりの"駆け抜ける歓び"を提供しようという良い意味でのメーカーとしての欲が感じられたものだ。もちろん、こういう取り組みはそれはそれで素晴らしいし、こちらとて乗り甲斐のある楽しい演出。大歓迎である。
しかしMIRAIはまっことその辺フツウな風に味付けられていて、それにひどく驚いたのだ。
『演出しようと思えば、いくらでもできました。でも、MIRAIはこれから沢山のお客様に選んでいただくクルマであらなければいけない。普通であることこそが、MIRAIの目標でした』
いかに"普通なこと"に感激したかを伝える私にそう言ったのは、チーフエンジニア田中義和氏である。そこにトヨタの、次のエコカー、次のスタンダードを目指しているのだという不気味なまでの本気の覚悟を感じたのだった。
MIRAIはトヨタ自動車が世界で初めて量産市販化に成功した、セダンタイプの燃料電池自動車だ。酸素と水素の化学反応で発電した電気を駆動源にする。燃料電池という語感がコトをややこしくしているのだが、要は水素を燃料にして走る電気自動車の一種だ。
大きな相違点として、電気自動車(EV)はバッテリーに蓄電した電力にてモーターを動かしているが、燃料電池車は燃料電池を使って自ら発電しながら走行できるということ。これにより、MIRAIはEVのように巨大なバッテリーユニットを必要とせずしてJC08モード約650kmの航続が出来るため、搭載されているバッテリーの容量に航続距離が左右されてしまうという、EVならではのウイークポイントを突破したことになる。
ちなみに気になる水素の価格だが、最近都心の芝浦に超オシャレな水素ステーションを出した岩谷産業が1,100/kg円で、JX日鉱日石エネルギーが1000円/kgで販売をすることを発表しており、MIRAIだと空から満タンにして約4,300円程度。最初はガソリンの価格と大差ないように調整されるため、どこで買ってもそう大差はない。
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【試乗記】トヨタMIRAI、普通である事がMIRAIの目標 :今井優杏 originally appeared on Autoblog Japan on Sat, 02 May 2015 04:30:00 EDT. Please see our terms for use of feeds.
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